Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.47

American Sound History [GIBSON L-Century 1938年製]

 ギブソン社はマンドリン、アーチトップのフルアコなどを製作していましたが、1926年にフラットトップのアコースティックギターを製作し始めました。

 最初のシリーズはスモールボディーのタイプで”Lシリーズ”と呼ばれる物でした。使用ミュージシャンではL-1モデルを弾きブルースを歌った”ロバート・ジョンソン”、L−00を弾きフォークを歌った”ウディ・ガズリー”等があげられます。そして今回ご紹介しますL-Centuryもスモールボディの中では1933年から1939年までの短い期間製作された貴重なギブソンの名器です。

L-Centuryはシカゴ100周年を記念してギブソン社が1933年に製作し、記念モデルならではの豪華なデザイン、素材が特徴です。トップ材にはアディロンダックスプルース、サイドバックは見事なハードロックメイプルを使用しています。ネックはホンジェラスマホガニーで指版のデザインはパーロイド材をを使用し、ポジションマークのところにハカランダ材と通常の発想と逆で作られておりとてもユニークです。

今年のNAMMショー(アメリカで行われる楽器ショー)ではギブソン社よりL-Centuryを復刻させたモデルが発表されました。それは”The Elvis Costello Century Of Progress”というソングライターシリーズのモデルで、エルビス・コステロ所有の1936年製L-Centuryを採寸し製作されました。

 300本限定生産でハカランダ材は使用していないがそれ以外はかなり当時のモデルに迫るものがあります。このモデルでも木目の詰まったハードロックメイプルが使用されておりトップ材もアディロンダック材とスモールボディーながらしっかり鳴る要素が入っております。

”The Elvis Costello Century Of Progress”のネックは三角シェイプでエルビス・コステロの意見も取りいれながら丁寧に製作されていますが、1938年製のヴィンテージは三角は三角でも不思議な形状で弾いていて手になじむラインになっています。それはネック裏の三角の先端ラインがナット側はネックの中心になっているのですがボディ側になるにつれ1弦側に徐々にセンターがずれていきハイポジションでネックを握ったときにもネック裏のマホガニーが手になじむような形状になっております。
色々なポジションで握りながらネックを削っていった職人の試行錯誤が見えるところでもあります。

1938年製ですともう70年経過しておりその存在感に圧倒されます。フラットトップギターの原点がここにあり職人の当時の新しい事を始める情熱も感じ取れるすごいギターです。正にオ〜アメリカン!

<お問い合わせ>
石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp





<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事しただいま渋谷店にて勤務中。
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。