Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.46

映像の中の楽器たち [Chapter:36 DEDICATED TO THE MEMORY OF PAUL KOSSOFF / FREE]


 Chapter:34で紹介したポール・ロジャースの出世バンドでもある「FREE」の映像を今回は紹介しよう。この映像はライブ映像とPVがゴッチャになったものであるが、その映像の鮮明さや楽器がとてもよく映っていることなど非常に楽しめる映像だ。

 まず1曲目は”Mr Big”からスタートする。Mr Bigと言ってもポール・ギルバートがいたミスタービッグではないが、あのバンドもこの曲からとったバンド名であり、そのミスター・ビッグもこの曲、”Mr Big”を演奏しているのは有名な話である。(ややこしくてスイマセン)
 その1曲目の”Mr Big”はしかもライブ映像である。1970年8月26日から30日まで5日間行われた「ワイト島ロックフェス/Isle Of Wight」での演奏が収録されている。FREEは4日目の8月29日の昼間にステージに立っているのだが、その観客の多さにビックリする場面が出てくる。数十万人いたといわれているオーディエンスをステージ側から映しているのだが、全く後ろが見えないのだ。スゴイ時代である。

 このライブにはジミヘン、テン・イヤーズ・アフター、ザ・フー、スライ&ザ・ファミリーストーンなど、その時代に最前線にいたアーティストが総出演といったところである。その中で当時若干二十歳のギターリスト、ポール・コゾフのギターが一段と光っている!正に顔で弾くギターリストとは彼のことで、継承しているのはゲイリー・ムーアぐらいではないだろうか。そのポールのトレードマークはやはりギブソン・レスポール・スタンダードである。

 映像の中には2本のスタンダードが登場する。サンバーストが殆ど抜けたレースポールと濃いブラウン・サンバーストのレスポールである。共に50年後期から60年の物であると思うが、この時代にはたった10年前のギターであるから今の時代の価値とは全く違うのが面白いところでもある。別の映像には50年代後期と思われる白のストラトキャスターも登場する。これはソロ名義のアルバム「BACK STREET CRAWLER」のジャケットにも登場するストラトである。そして彼の後方には初期のマーシャルが積まれ、別の映像にはオレンジのアンプも登場している。

 そのコゾフはこの時代に良くありがちな薬物中毒であった。しかもレコーディングやライブに穴をあけてしまうほどの重度で、バンドは2年間と少しの活動後、71年に解散してしまう。解散後、個々に活動をしていたメンバーであるが、72年にナント再結成!しかし再結成後、ベースのアンディー・フレイザーの脱退やコゾフの薬物中毒の悪化から補強メンバーを加入させるが73年に再度解散となってしまう。この解散間際のFREEに参加したベーシストこそ、日本人のテツ山内であったのを忘れてはいけない。

 そして76年の3月19日、コゾフは帰らぬ人となった。ニューヨークへ向かう飛行機の中でドラッグに蝕まれての最後であった。いかにもこの時代のギターリストという最後でもあった。実際、活動していた時間はたった6〜7年であったが後世に影響を及ぼしたギターリストであることは間違いない。そして顔でギターを弾く人であることも間違いないのだ。オマケですがドラムのサイモン・カークも顔で叩くドラマーです!


[DEDICATED TO THE MEMORY OF PAUL KOSSOFF / FREE]

1.Mr.Big
2.The Steeler
3.Ride On Pony
4.My Brother Jake
5.Be My Frind
6.I'll Be Creepin'
7.Fire And Water
8.Song Of Yesterday
9.Love You So
10.All Right Now

Paul Rodgers (Vo)
Paul Kossoff (Gt)
Andy Fraser (Ba)
Simon Krike (Dr)
コゾフのソロアルバム「Back Streets Crawler」。ストラト持ってます!
コゾフのソロアルバム「Back Streets Crawler」。ストラト持ってます!

この音源も最強ですゼ!BBC・LIVE
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