Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.45

この一枚を聞け![IN THE WAKE OF POSEIDON / KING CRIMSON]



 1969年10月、ロック史上を揺るがすアルバムが登場した。そのアルバムこそクリムゾンのデビューアルバムである「IN THE COURT OF THE CRIMSON KING]」であった。当時、チャートの上位を独占していたビートルズを抜いた事でも有名となった(ローカルチャートという噂も・・) 

 そのクリムゾンがアルバム発売と同じ頃にイギリス・ツアーに続いてのアメリカ・ツアーへと出かけることとなるのだが、その時点でメンバーの2名が脱退を表明する事となる。何を隠そうこのバンドほど、アルバムごとにメンバーが違うプログレ・バンドNo.1なのである。

 オリジナルメンバーはギターのロバート・フィリップ、ベースにグレッグ・レイク、サックス&メロトロン(渋い)にイアン・マクドナルド、ドラムにマイケル・ジャイルズ、そして詩人にピート・シンフィールドという4人のプレイヤーと1人という非常に変わったメンバーでスタートとなる。そしてファースト・アルバム出した直後に前記の通り、イアンとマイケルが脱退を表明。そしてベースのグレッグも同時に脱退を匂わせていた。

 そんなバンドが不安定な時期に生まれたアルバムが、この「IN THE WAKE OF POSEIDON」である。抜けてしまったメンバーの補充に旧友ピーター・ジャイルズをベースに、グレックはヴォーカルのみ参加。、聞いた事のないジャズピアニスト等でようやくこのアルバムを完成させたと言うではないか!そこまでしてアルバムを作らなければならなかったのはやはり契約なんでしょうか・・・
とにかくアルバムに記載してある名前を見るといろんな人の名前が書いてあってよく解らん状態なのです。気合があったら見て下さい!

 しかもやはり前作から比べられるアルバムなのでイマイチ評価が低いのが私としては納得行かない!タイトル曲の”IN THE WAKE OF POSEIDON”や”CAT FOOD"などは最強である。”CAT FOOD”などはこの後に発売されているアルバム「LIZARD」に通じるものがあり、インプロ色が大変濃くなっている。そしてビックリする事が更に一つ!ファーストアルバムから3枚目の「LIZARD」までナントたった13ヶ月の間に3枚もアルバムをリリースしている。正直、これではメンバーも脱退しますよ〜!ありえませんです。

 しかしこのバンドの凄いところはこれだけではない。数あるプログレバンドのメンバーが殆ど加入していた時期があることだ。グレッグ・レイクはご存知、クリムゾン脱退後にEL&Pを結成。イエスのビル・ブラッフォードも後期に参加。後期のシンガー&ベースはジョン・ウェットンだし、イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズは脱退ごマクドナルド&ジャイルズを結成するしと数えたらキリがありません。それほどギターのロバート・フィリップというのは難しい方なのでしょうか。

 余談ですが私の友人が来日時にロバート・フィリップにサインをお願いしたところ、色紙に全く違う名前を書いたという。そしてこう付け加えたのだ。”君は私のサインを何に使うつもりだ?”やはり変わっていると確信しました。
しかしその変わっている性格からあの攻撃的なギターサウンドが飛び出すのだ。とにかくこの1枚を聞け!