Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.43

American Sound History [Gibson Les Paul Custom 1969年製]

 1954年、ギブソンから高級モデルレスポールカスタムが登場しました。今回はこの美しくクールなギター、”ブラックビューティ”についてお話しいたします。

レスポールカスタムは発売された1954年〜1956年までは他のレスポール同様、ハムバッカーピックアップは搭載されておらず、シングルピックアップが搭載されていました。しかしゴールドトップのレスポールと違いフロントに”アルニコV”のピックアップ、リアに”P-90”のピックアップを搭載した独特なスタイルを持っていました。

 特にこのフロントマイクに搭載された”アルニコV”のマイクはジャズ系ギターL-5,バードランド等にも搭載されたジャズギタリストにも使える奥の深い音色と豊かな倍音がソリッドボディのレスポールカスタムにも相性が良く、クリーンからオーバードライブまで太くサスティーンが伸びます。この仕様も1957年にハムバッカ-ピックアップが登場することにより”P-490”のハムバッカ-ピックアップが3ピックアップ搭載されよりパワフルに分厚いサウンドに変わります。

1961年までレスポールスタイルで生産されたカスタムはその後、「SGシェイプ」に変更されます。それまでのレスポールカスタムはワンピースマホガニーのボディでトップ材もワンピースマホガニーが使用され、メイプルトップ材を使用したゴールドトップのレスポールに比べ音色が柔らかく、一度弾くと虜になる方も多いようです。

 一度生産を打ち切りしたレスポールカスタムですが1968年に再登場します。50年代に登場したレスポールカスタムと比較すると3ピックアツプから2ピックアップになり、サウンドに影響がある木材に変更点があります。50年代と違いトップ材がマホガニー材ではなく2ピースのメイプル材を使用し製造されました。ピックアップは二つのハムバッカ-が搭載され、よりストレートなルックスとサウンドに生まれ変わっています。

また、再登場してすぐにレスポールカスタムは仕様変更が始まります。今回の1969年製のレスポールカスタムと比較してみると、ネックが1ピースのマホガニーの仕様でしたが69年には3ピースのマホガニー材に変わります。
 指板はそのままエボニー材が採用されフレットも発売当初から”フレットレスワンダー”と呼ばれる細くて背の低いものが打たれております。レスポールカスタム用に開発されたものでスムーズな弾き心地を目指したものだそうです。フレットはサウンドにも影響力がありますがギブソン社はこのフレットを70年代前半まで継続していました。

 ボディ材は69年よりラミネイトのマホガニー材が使用され通称”パンケーキ”とも呼ばれていますが、今回の69年製はこの”パンケーキ”になる前の1ピースマホガニーで変わる前の過渡期になります。
 ヘッドのロゴはGibsonのIの文字に点が無くなるのも1969年のポイントでもあります。これは他のモデルも同じ仕様が見られ60年代中期か、後期かを見分けるポイントとしても判断できるところです。

レスポールの魅力はトップの美しいカーブ形状ですが、70年代に入るとトップのアーチは浅くなり、69年までの美しいアーチラインはレスポールファンを魅了します。ロックンロール、パンク、ハードロック、ブルースとジャンル関係なく使用できるギターとして現在まで愛され続けているのです。オ〜アメリカン!

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<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事し今年渋谷店勤務5年目
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。