Ishibashi Mail Magazine Vol.42
Ishibashi Mail Magazine Vol.42
 | 今回より読者より要望の高かった”プログレッシブ・ロック編”のはじまりです。私自身、マニア的に得意な分野でありますが、あえてプログレを聞いた事のない方にも楽しんでいただけるホンの少しだけマニアックな内容にしていきたいと思います。 やはりトップバッターこのバンド、私の最も敬愛するバンド”PINK FLOYD”のアルバムを紹介していきます。最も有名なアルバム「THE DARK SIDE OF THE MOON」や「WISH YOU WERE HERE」はあえて紹介せず77年にリリースされたこのアルバムを紹介します。 73年に発売された「THE DARK SIDE OF THE MOON」はロック史に残るスーパーアルバムで15年近く全米トップ100に居座ったというモンスターアルバムでも有ります。73年あたりのツアーでは当然、このTHE DARK SIDE OF THE MOON」の曲の全てを演奏してきたが、あまりにもビックヒットしたことにより74年は苦悩の時代だったといわれている。74年のツアーでは新曲が3曲用意された。1曲が”SHINE ON YOU CRAZY DIAMOND”で、言わずとしれた75年に発売される「WISH YOU WERE HERE」に収録されているメイン曲だ。そして残り2曲が”RAVING AND DROOLING”と”YOU 'VE GOTTA BE CRAZY”という曲だ。この曲こそ後に「ANIMALS」に収録される事となる”SHEEP"と”DOG”なのである。このことは74年あたりのツアーのブートレッグ盤を見ると全て旧タイトルで紹介されているのが解る。 77年にこのアルバムはリリースされるが、既に実験的にライブで演奏するなど、いかにもプロイドらしいやり方だと思う。そしてサウンド面でも前作の「WISH YOU WERE HERE」から大きな変化が出ている。それはギターサウンドが全面に出てきてフレーズもブルース色の強い弾き方になっているところだ。この面に私はまさにノックアウトされたのだ。（言い方が古くてスイマセン）「THE DARK SIDE OF THE MOON」も物凄いお気に入りのアルバムだ。しかしさらに「WISH YOU WERE HERE」が好きな理由はこの辺にもあるのだろうと思う。 そしてこの頃からバンドには不和が生まれている。それはバンドのスポークスマンであるロジャー・ウォータースと他のメンバーとの不仲である。コンセプトにやたらとこだわるウォータースはこのアルバムの中にも火種を作っており、不動の4人メンバーでのアルバム製作はこのアルバムが最後となっている。そしてこの次のアルバム「THE WALL」では更にバンドの存在を危うくすることを決定づけているのだ。そして83年にバンドは活動を休止した。（この後の事は違うアルバム紹介の時に・・・） 「THE DARK SIDE OF THE MOON」は確かに最も売れたアルバムでもある。しかしそのあまりにもの巨大さにバンドの力が吸い込まれていってしまうほどにも感じられる。そんな事から74年〜75年の間はピンク・フロイドにとっては激動の変換期であったに違いない。その激動の中で生まれたアルバムだからこそ、たまらなく好きなのである。ジャケットも工場の上に豚が飛んでいる。このアバンギャルドさがたまらんのだ。とにかくこの1枚を聞け！ |