Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.41

この一枚を聞け! [FREE SPIRIT / JOHNNY,LOUIS & CHAR]



 このコーナー、”日本のバンド・シリーズ”の最後を飾るのはこのバンド。76年衝撃的なデビューを飾るCHARが79年に始動させたバンド。デビュー後、ややPOP路線で活動していたが、79年に元イエロー、金子マリ&バックスバニーのドラマー、ジョニー吉長に、グループサウンズの代表格であるゴールデンカップスのギターリスト、ルイズルイス加部をベーシストとして迎え結成されたのがこのJOHNNY,LOUIS & CHARである。

 このアルバムはそのバンドがデビューにあたって行われた日比谷野音でのフリーコンサート(無料ライブ)を収録したライブ盤である。デビューアルバムがライブ盤という今までに無い切り口に当時の雑誌を賑わしたのはいうまでもない。また、人気度が高いアーティストがフリーコンサートをやるなど70年代後半には既にほとんど存在しなかったため、このコンサートには異例の14,000人ものオーディエンスが詰めかけたことでも有名になっている。アルバムの音質は決してイイとは言えないが時代の最先端を行っているギター・サウンドがそこにあった。

 そしてこのライブのことは今でもはっきりと覚えている。同日に大阪からやってきたハードロックバンドで「野獣(のけもの)」と言うバンドが日本青年館でライブを行うことになっていた。私はチケットを買っていたがこのチケットを購入後に、FREE SPRITの事を友人から聞いた。開始時間に若干のずれがあったため、まずは野音に向かったのである。しかし、会場はとんでもない人だかりで入場さえ出来ない。そうこうしているうちに1曲目がスタートしてしまい、私は友人と野音の壁をよじ登り入場したのだ。軽く3mくらいはあったのに・・・ そうこうしているうちに今度は野獣の開演時間が迫り、なくなく野音を後にして日本青年館への向かったのである。こんな過酷なこと行っていたのもやはり若さがあったからであろう!

 JOHNNY,LOUIS & CHARはこのライブのあとからツアーを行う。この野音の不完全燃焼から、地元に近い立川にこの年の11月にやってきた時には当然見に行った。しかもこの時の前座はロックに転向したばかりの「RCサクセション」であった。今考えると物凄い豪華なライブであったと思う。そしてこの当時、なぜあのフェンダー・ムスタングからあんな鋭い音が出るのか解らなかった。これは当時のロック小僧の誰しもが思っていたことではないだろうか。

 そしてこのバンドは82年にピンク・クラウドと名前を変えて活動を続けていく。個人的にはJOHNNY,LOUIS & CHARのほうがアグレッシブで好きだ。私の好きなバンドに「トラッピーズ」というバンドがいる。元ディープ・パープルのグレンヒューズが在籍していたバンドだ。JOHNNY,LOUIS & CHARはこのバンドに非常に似ているところを持ち合わせている気がする。そんなところもお気に入りの一つなのである。
とにかくこの1枚を聞け!

次回から「この1枚を聞け:プログレッシブ・ロック編」が始まります!