Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.40

この一枚を聞け! [エレクトリック・ウズ / 加納 秀人]



 70年代前期、頭脳警察や村八分と並んで絶大な人気を得ていた伝説のバンド”外道”のギターリスト、加納秀人(通称:ヒデちゃん)の80年にリリースしたソロアルバム。

 外道は73年にデビューし、ライブでのし上って来たバンドである。ライブ会場には毎回同行する暴走族”外道”がいることから、会場がバンドを当日になって出演させない事もしばしばと、話題が耐えることの無いバンドであった。私が初めて外道を見たのが確か75年、相模原市民会館であったがこの時も暴走族”外道”が同行しており、会場は非常に中学生の私にとっては怖いところだったのを覚えている。

 その外道も76年に突然解散!しかし70年代後半に多分このアルバムがきっかけとなり外道が再び始動し始めた。このアルバムはヒデちゃんのソロアルバムではあるが、バックは全て外道。ベースは青木正行、ドラムは日本一のロックンロールドラマー、中野良一なのである。以前の外道に比べると、ソロアルバムということもあってかサウンド面ではだいぶソフトな仕上がりであるが、やはりグルーブは外道そのもののところが嬉しいところです。

 また、アルバムタイトルも私にとっては非常に懐かしいものである。この「エレクトリック・ウズ(ELECTRIC UZU)とは私の実家、東京都下の福生市にあるライブハウスの名前である。今はもう存在しないはずだが、1970年代福生には2つのライブハウスが根を下ろしていた。”赤線”と呼ばれる横田の米軍兵士相手のクラブやバーが並ぶ通りにあった”チッキンシャック”とこの”エレクトリック・ウズ”である。どちらかと言うと少し有名なバンドが”ウズ”の方に出ていた傾向があり、”ウズ”にはよく足を運んでいた。

 このころ良くヒデちゃんも良く出入りしていた事から多分タイトル局も生まれたに違いないと勝手に思い込んでいる。ソロになっても何度かヒデちゃんのライブは見ているが、ストラト(70年前期の物)をあそこまで良い音で出す日本のギターリストはなかなか居ないと思っていた。

 そしてこのアルバム発売の1年後の81年に外道は復活を遂げている。2枚のアルバムを出した後、再び消滅。そして90年初頭に再々復活。2000年に入ってから更に活動を活発にしている。しかし、ここ最近はまた名前を聞かなくなった。再結成がブームになっている今、復活を望むバンドの一つであることは間違いない。
”外道に向かって礼ッ!”そして、この1枚を聞け!