Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.39

この一枚を聞け! [LIVE / TETSU & THE GOODTIMES ROLL BAND]



 日本のアーティストで”山内テツ”ほど海外のビッグバンドに加入していた者はいないのではないだろうか。ポール・ロジャース、ポール・コゾフ、サイモン・カーク、アンディー・フレイザーによって結成されていたバンド”FREE”。その”FREE”のベーシスト、アンディー・フレイザーの脱退した後、加入したベーシストが「TETSU YAMAUCHI」であった。70年初頭に”FREE”が来日した際に交友関係を結んでいたという。

 そして”FREE”解散後、テツはなんとロッド・スチュワート、ロン・ウッド率いる”フェイセズ”に加入する事になる。そして凱旋来日公演も行っているという快挙を成し遂げた。その”フェイセズ”もロン・ウッドのストーンズへの参加により解散となってしまう。

 70年中期、テツは日本へと戻ってきた。76年には2回目のワールド・ロック・フェスティバルにも参加し活動を続けていた。そして76年8月に2枚目のソロアルバム「ききょう」を発表。活動に拍車がかかった。

 ちょうどその頃、”四人囃子”からギターリストの森園勝敏が脱退するというショッキングなことが起こった。このときはまさか今後、テツと活動をともにするなどとは誰も思わなかったに違いない。76年も秋にさしかかった頃、音楽紙に「山内テツと森園勝敏が活動を共にする」と発表。それが何を隠そうこの”TETSU & THE GOODTIMES ROLL BAND”であった。

 しかもメンバーを聞くとビックリ!ボーカリストはイエスのリック・ウェイクマンのライブ・コンセプトアルバム「地底探検」で唄っているゲイリー・ホプキンスではないか!また、このゲイリーの声質は当時からロッド・スチュワートにソックリな事でも有名であったのである。そして森園のサウンドといえば”四人囃子”のサウンドからは想像も出来ないほどのクランチサウンド。やはり、”フェイセズ”を意識したサウンド作りになっている事に間違いないと感じた。

 さらにビックリは続く。サイドボーカルは桑名正博の妹でもある桑名晴子が加入している。ソロアルバム「ききょう」でも参加しているため、その流れとなったに違いない。これほどのメンバーを揃えればサウンドは正に海外のバンドの勘違いしてしまうほどのクオリティーである。しかし、このライブで唯一気に入らないところがある。それはベースの音がデカすぎる事。ま〜ベースがバンマスだがら仕方がないか。
 しかし、この時代の性。このバンドもご多分に漏れず1年あまりで終了。この後、テツはクリエイションへ参加することになる。

 そんな事を思いながらまたこのアルバムを聞いている。最近、リマスター化が凄いスピードで進んでいる。しかし、この時代の音源はこの時代のクオリティーで聞くのもなかなかである。でも紙ジャケ仕様が出たら買っちゃうんだろうな〜。とにかくこの1枚を聞け!