シンバルファクトリーツアー in トルコ(Istanbul Agop&Mehmet / Bosphorus)

 

シンバル400年の伝統と今
  シンバルの都「トルコ・イスタンブール」を訪れ、ハンドメイドで行われるシンバル造りの原点に触れる旅に、イシバシ楽器店を代表して、私「SHIBUYA WESTドラム担当峯田」が「イスタンブール・アゴップ、イスタンブール・メメット、ボスフォラス」3社に行ってまいりました。

東京から距離にして「約9,000km」、フライト時間「約10時間」! 約1,400万人とヨーロッパ圏においても最大規模の人口を誇る、トルコ最大の都市「イスタンブール」。ボスフォラス海峡を挟んで、ヨーロッパとアジアの両方の文化が入り交るトルコの中で、イスタンブールは地理的にも文化的にも限りなくヨーロッパ側に位置しています。宿泊したホテル界隈では、ヨーロッパ系の美女やイケメンが颯爽と歩いており、現地のクラブ(?)ではターキッシュ・エレクトロ(?)が大音量で流れ、異国感を存分に感じる事ができます。また、トルコ国民の多くがイスラム教徒であり、一日に5回の礼拝がモスク(寺院)にて毎日行われています。(実際、現地のレストランで食事中に、突然不思議な音楽が街中に鳴り響き、何事かと思ったら礼拝時間の始まりの合図とのこと、、、。海外慣れしておらず、完全にビビッてしまいました、、、。)  多民族国家と称され、宗教・文化が混在する独特な雰囲気を漂わせる国「Turkey」。そこで、どのように「Hande Made Cymbal」が伝統的に受け継がれて来たのか、、、。  想像していた期待と不安を一瞬で超え、中々の「スリリング&エキサイティング」な日々となった5日間を、これからご紹介させて頂きます。

10/4 - 10/5 ISTANBUL AGOP CYMBALS REPORT
ISTANBUL AGOP HISTORY

イスタンブールアゴップ社は、アタテュルク国際空港近くの主要道路から少し離れた工業地帯の一角に、オフィス&工場を構えています。周りには同じような雰囲気のビルが沢山ありましたが、シンバルに関わる建物ばかりでは無さそうです。

 

工場の内部に潜入すると、まずは大きなダンボールの塊に出くわします。出荷前のシンバル達が山ほど積まれている様なのですが、その裏ではシンバルの素を製造するための「極秘作業」が行われているとのこと、、、。やむを得ずカメラを鞄にしまったのであります、、、。

入り口を過ぎてオフィスに向かう途中、なにやら雰囲気満点の工芸品が!! 、、、っと思ったらレイジング(細かい線状の溝を作る為にシンバルを削る作業)するための機械でした!現在は使われておらず、何十年にも渡ってシンバルを削り続け、現在は隠居してオブジェとして存在感を放っています。(作業現場を見学した際に、現役で活動している機械を見ましたが、ほぼ同じ物でした。伝統的な製法を守り続けているアゴップの魂が垣間見れた瞬間でした。)

 階段を上って行く途中には、先日惜しくも廃盤となり国内在庫数も残り少なくなってしまった「OM Series Cindy Blackman Model」のライドシンバルが、目の前に飛び込んできました!

 良く見ると直筆のメッセージ入り!「ここからは気合を入れて先に進みなさい」と言われているような気分に勝手になりながら、遂にオフィスに辿り着きました! オフィスの中では、アゴップ社の方々が笑顔で我々をお出迎え!皆様穏やかで話し易く、とにかく素晴らしい方々でした。

オフィスにてイスタンブールアゴップ社の企業理念、シンバル製作に傾ける想いを丁寧に語っていただきました。先代のAgop・Tomurcuk(アゴップ・トムルジュク)氏の息子であり、現アゴップ社の社長であるアーマン氏は、伝統への拘りと共に企業としての発展を強く願っており、日本国内やアジア・マーケットのシェア拡大をすでに視野に入れている事が、言葉の節々から感じられました。最近ではXISTシリーズを中心に新しいユーザーが日本でも増えていますが、今後新しいラインナップも発表されるようですので、今から楽しみでなりません!

 その後、工場内にてシンバル製造過程を順番に見学させて頂き、残り時間と翌日はシンバル選びに没頭させて頂きました! 過去見たことが無いほどの無数のシンバル達!
奥には選定用のためにドラムセットも用意されていました。
そして、アゴップ社員のブラクさんが、シンバルをチェックしているところを動画撮影させていただきました!

完成したシンバル達が種類ごとに並べられています。

チェックが完了したまだロゴ入れ前のシンバル達

サウンドチェック用のドラムセット。

選んだ1枚に名前が!

アゴップ社員のブラクさん

AGOP SELECT LIST 現地選定品

Isutanbul Agop 30TH ANNIVERSARY 20 RIDE weight:1,850g

販売価格:52,920円(税込)
商品コード:05-521536000-0001

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Isutanbul Agop 30TH ANNIVERSARY 22 RIDE weight:2,280g

販売価格:64,260円(税込)
商品コード:05-527486800-0001

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Isutanbul Agop 30TH ANNIVERSARY 24 RIDE weight:2,960g

販売価格:74,088円(税込)
商品コード:05-521861500

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Isutanbul Agop / Cindy Blackman MANTRA 22 RIDE weight:2,900g

販売価格:52,164円(税込)
商品コード:05-527636000

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Isutanbul Agop / SIGNATURE 21 RIDE weight:1,970g

販売価格:45,360円(税込)
商品コード:05-527636400

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Isutanbul Agop / SIGNATURE 22 RIDE weight:2,190g

販売価格:51,408円(税込)
商品コード:05-527636500

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Isutanbul Agop / SIGNATURE 24 RIDE weight:2,770g

販売価格:62,748円(税込)
商品コード:05-521536000-0001

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Isutanbul Agop / SPECIAL EDITION JAZZ RIDE 22 TW weight:2,500g

販売価格:41,580円(税込)
商品コード:05-521798700-0001

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Isutanbul Agop / TRADITIONAL 22 DARK RIDE weight:2,380g

販売価格:43,092円(税込)
商品コード:05-521579500

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Isutanbul Agop / TURK 20 JAZZ RIDE weight:1,860g

販売価格:35,532円(税込)
商品コード:05-527636900

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10/6 ISTANBUL MEHMET CYMBALS REPORT
ISTANBUL MEHMET HISTORY

イスタンブール・メメット社は、空港近くのホテルから車で約30分ほどの所に有る工業地帯の一角にあります。建物自体も、アゴップ社より全体的に少しこじんまりとした印象です。  

到着すると、すでにハンマーの音が鳴り響いており、我々のテンションも徐々に上がって参ります!

応接室に通されると、まず目に飛び込んできたのが、ブロンズ色のドラムセット! なんと、シンバルと同じ合金素材をシェルに採用した、世界に1台のプロトタイプ!思った以上にローファイなサウンドで個人的に驚きました!こんな所からもシンバル職人達の遊び心が感じられ、工場全体が伝統とアイデアが入り混じった素敵な雰囲気に包まれておりました。

応接室の壁には、数々のレジェンド・ドラマー達の写真が、一面に飾られておりました。

そして、半世紀以上前のオールド・ジルジャン時代から現在に至るまでのターキッシュ・シンバルの歴史の生き証人であり、伝説のシンバルマイスターであるメメット・タンデガー氏。
現在もイスタンブール・メメット社のトップに君臨している、氏の生涯を称える文章が壁一面に記されておりました。

 工場の一角には、シンバルを成型する前段階の状態で、シンバルの素と言える「ブランク」と呼ばれる合金の塊が大量にストックされておりました。さらに、その原材料であるワイヤー状の金属類たちも。

続いて、いよいよシンバル選定会場へ移動しようと2階に向かってみると、そこでメメット・タンデガー氏ご本人と対面! 二階にも、数々のレジェンド達とメメット氏が一緒に写った写真が所狭しと飾られておりました。

倉庫内をほとんど開放して頂き、我々がシンバル選びに没頭出来る環境を提供して頂きました。

選定後は、有名なトルコ料理店にて食事会に招いていただきました。そこでは、本場のケバブを堪能!

 その際に、先日150セット限定にて発売された「Tony Williams Tribute Cymbal」のプロジェクトを手掛けたプロジェクトリーダーの方から、誕生秘話について貴重なお話を伺う事が出来ました。 何でも、本人使用のサウンドを再現する事は常に神経を削る作業だった様で、特に22”Ride に関しては、最も時間と労力が割かれたとのこと。彼曰く、最終的にサウンドを決定付けたポイントは、レイジングの回数を「一回」に留めたということ。
 通常ハンマリング後にレイジングを繰り返し何度も行う事で、最終的にトーンを仕上げていくのですが、今回のシリーズは一度しかチャンスが無い為、キャスティングからハンマリングまでの段階で、ほぼ完璧な状態に仕上げ、最後に一度だけレイジングを行い完成させるという、このモデルならではの製法にて、今回の傑作が誕生したのであります!
 1つのモデルを生み出す為、今までの技術を見つめ直し、新たなアイデアを実践するその姿勢に、イスタンブール・メメット社の方々の一流のこだわりを感じた一日でございました。

10/7 BOSPHORUS CYMBALS REPORT

 

ボスフォラス工場は、市街地から少し離れた郊外地に建物を構えています。
今回訪れた3社の中で最も規模が小さく、全体的に謎めいた雰囲気を漂わせています。

BOSPHORUS
BOSPHORUS
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訪れて先ず真っ先に目に入ったのが大きな青い看板。その奥には沢山の薪が山のように積み上げられています。ボスフォラスのシンバル製法の中で、ガスでは無く薪でを使うことも、他社との大きな違いとなっているようです。

 

 オフィスに入り、先ずはボスフォラス社設立の経緯をご説明頂きました。会社を立ち上げた3人は、昔からの幼馴染で以前はイスタンブール社にてシンバル職人として腕を振るっていたようです。2016年で設立20周年を迎えるボスフォラス社では、数々のプロトタイプを試奏させて頂く事が出来ました!

※音量にご注意ください※

BOSPHORUS
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こちらもプロトタイプ!エフェクトシンバルの可能性もまだまだ広がるばかりですね!

 そしていよいよ工場見学に移ります。社長さんの心遣いで、工場の隅々まで撮影許可が下り、キャスティングを含む全ての工程を公開した頂けたのです!この貴重な機会を物にすべく、夢中でカメラを回し続けました!

 

 それでは!本場のハンドメイド・シンバルの製造工程を、工場内部の様子と一緒に順番にご紹介します。

 入り口付近にあった、熱した金属を冷やすための井戸。暖められた金属を水で冷やす事で、強度を保つ事が出来る様になるそう。

BOSPHORUS
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鋳造された金属を何度もローリングするための機械。延ばして、釜で熱して、また延ばして、、、。地道に続ける事で徐々にシンバルの形状に近づいていきます。

 

 銅、錫などの金属を溶かしてシンバルの素を調合する作業。その中にはシンバルの切れ端や、製造過程で失敗したシンバル達も一緒に混ぜられているようです。

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▲合金が流し込まれる受け皿。

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▲流しこむ前にオイルと熱湯を入れています。

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▲そして合金を流し込みます。最も緊張が高まる瞬間です。

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▲大きな工具で、一瞬にして固まった合金を受け皿から取り出します。

 

 取り出された合金は次の工程に移されます。熱いうちに合金をローリングマシンで何回も延ばします。メメット社でも出てきた「ブランク」は、シンバルの原石と言える段階の物であり、一つ一つにグラム数も記されているそう。これを釜で熱し、プレスしてシンバルらしい様相に近づいていきます。

BOSPHORUS
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 次々と運ばれてくる合金を機会に通す前に、細かいゴミや煤を取り除きます。 汚れが付着していると、他の工程中にマイナスポイントとして浮かび上がってきてしまうため、この段階で綺麗にしておく事が重要だそうです。

 

 気付くと一連の作業は終わっており、いつの間にか元通りになっていました。

 そしてまた次のキャスティング作業が繰り返し行われていきます。

BOSPHORUS
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▲カップをプレスするマシン。様々な形状のカップの型がたくさん!モデル&サイズによって、高さ&大きさが異なる型をプレスします。

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▲熱して、プレスするという工程を繰り返した後に、丸くシンバルの形に仕上がった金属と、切れ端。この切れ端も次のシンバル作りのためにリサイクルされます。

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▲エフェクトシンバル用に穴を開ける作業。選定時には、こちらがオーダーした所に、その場で穴を開けてくれました。

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▲ハンマリング作業。ここでは、1枚1枚の成型と、トーン&ピッチのコントロールが行われます。全員が1枚のシンバルのハンマリングに携わる為、ムラが少ない確かな品質が保たれています。

 次はレイジング作業。まずはなだらかに表面を削って行き、徐々に細かく丁寧に仕上げ、重点的にレイジングを施して行きます。モデルによって、レイジングの幅が異なるため、ダイヤモンド並に硬い道具をレイジングの幅によって選び換え、着実に作業を進めていきます。

BOSPHORUS
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様々な種類のロゴスタンプ。

この場所で完成したシンバルが箱詰めされ、世界中にシンバルが出荷されます。

一通り工場内を見学した後は、シンバル選定会!次々と運ばれてくるシンバル達で部屋の中はシンバル祭になりました!

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 長かったトルコツアーの最終日は、先ずイスタンブール・アゴップ社を再訪して挨拶をし、その後イスタンブール市街地の観光へと向かいました。  有名な観光地であるグランドバザールに始まり、イスタンブールの旧市街地の町並みは本当に美しく、また訪れたいと素直に思える印象的な光景ばかりでした。また、参加者全員のたっての希望により、イスタンブール市内の楽器店にも立ち寄る事が出来ました。

 シンバルのルーツを辿る今回のイスタンブール・ツアーは、あっという間に最終日を迎える事となりました。沢山の貴重な光景を目にする事が出来、充実した旅となりました。 ハンドメイド・トルコシンバルの魅力は、今回選ばせて頂いたシンバルを叩いて頂ければ感じて頂けるはず、、、。  正直なところ、「もっと沢山選びたい!」という気持ちも残っておりますが、それは次の機会のためにとっておきたいと思います。

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