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スピーカー・ボックス


●スピーカー・ボックス ●電気系と音響系の対比 ●スピーカー・ボックスの考え方 ●電気ギター用スピーカー ●音圧特性 ●オーディオ用スピーカーと電気ギター用のスピーカーの比較 ●後面開放型スピーカー・ボックス ●マーシャル・タイプ・スピーカー

●スピーカー・ボックス
 多くのスピーカーは必ずバッフル板、または ボックスに取付けられている。これはスピーカーの 破損を防ぐための単なる保護のためではなく、音 響理論に基づいた特性改善のためのものである。 音波は波であり、空気中では空気を媒体とし、 圧力の変化、即ち空気の密度を疎、または密に変 化しながら進む。スビー力ーの振動板の振動はぞ の現象を周波数に応じて与えている事に他ならな い。そこで波である音源の波長を考えてみよう。 音の速度は空気中で、温度θ℃、1気圧において 次の式で与えられる。
●C=331+0.61θ m/sec(49式)
 即ち20℃において昔速はC≒343m/secとなる。 この音速は周波数に依存しない。たとえば1Hz の音は1秒間において1回振動し、343m進むこと になる。図IV‐31からわかるように1Hzの波長は 343m、2Hzでは171.5mであり、1,000Hzでは 0.34mである。前述のように、指向性は振動板の 径に応して周波数が高くなる程鋭くなるが、低音 域においてはほとんど指向性を有せず、全方向に ついて同じ大きさの音圧を放射する。スピーカー を1枚の円形の振動板であると考え、図III‐31のよ うに振動板が動いたとすれば、動いた方向に存在 する空気は圧力を受け密になる。しかし全く同時 に反対側では疎になっている。即ちスピーカーの 前面と後面では全く逆の現象を引き起こして、指 向性のない低音域では全方向にこの疎密波は伝わ ることになり、それぞれが打ち消し合う。つまり 振動板が振動するにもかかわらず干渉のために音 波は発生しない。したがって、スピーカーの前面 と後面を何らかの物体を用いて分離してしまう必 要がある。この前後をさえぎるものをバッフル(図 III-32)と呼んでいるが、その大きさは一体どれだ け必要であろうか。図III‐33のように比較的小さい パッフル板を取り付けたとすると、その寸法と音 波の波長との比により前後の遮断をなし得る周波 数範囲は決定してしまう。たとえばバッフル板が 円形であるとすれば、その直径と等しくなる波長 や整数倍になる周波数付近では相互干渉により音 圧は著しく低下する。また直径と等しくなる波長 より低い周波数では干渉が生じ、音波は弱まる。 正方形バッフルの中心にスピーカーを取り付けた場 合の特性を図III‐34に示す。中心に取り付けると前 後面の音の通路の長さがほぼ等しくなり、それだ け千渉の影響も大さい。このためバッフル板は長 方形にし、なるべく不規則な位置にスピーカーを 取り付けるように留意じなければならない。

a)後面開放型ポックス
 スピー力ーの低域再生限界は、最低共振周波数 により決定してしまうことを述べたが、極端な低 域を再生しうるスピー力ーを用いて、その再生を 希望するならば、想像を絶するような大きなバッ フル板が必要になり、全く実用的でない。このた めできるたけバッフルを大きくするように考慮し、 また不便さを取り除くように図III-35に示すような 後面開放型ボックスが考えられた。このバッフル の後面は一種の筒のような働きを示し、その深さ に応じて共振現象が表われる。また後面からも実 際に音は放射され、種々の用途や、用いる部屋に よっては、不便さや特性上の間題を生じてくる場 合もある。

b)密閉型ポックス
現在ではほとんど図III-36に示すような密閉型ボ ックスが主流をなしている。そして主に低音域の 問題に関じてのみであるが、必要に応じて種々の 工失がなされている。


●電気系と音響系の対比  図III‐37に示すヘルムホルツの共鳴器と言われる 音響系について考慮する。これは空胴Wの容積を 持ち、その先に長さl、断面積Sの短管が接続さ れておリ、壁は剛体で各部の寸法は考慮する周波 数の波長に比べ十分に小さいものとする。管の入 口に音圧Pが加えられたとじて媒質、即ち空気の 振動について考える。管の中の空気の質量は密度 をρとするとSlβで与えられるが、これは何らか の力を受けるとすれば一体となって動くものと考 えることができる。そのときの速度をvとすれば 加速度はdv/dtであり、慣性力はSlρ・dv/dtとな る。また媒質が動くための粘性や摩擦rがあるも のとすると、rは速度に比例じた力の降下rvを生 じる。さらに音速をCとすると容積Wの空胴は弾 性を示し、(S^{2}ρc^{2}/W)*∫vdt/Wの弾性力を引き起こす。即ち加えた 圧力pは管にSpの弾性力を及ぼし,それが上記力と 釣り合うように運動を行なう。そこで次の関係式 が成立する。
(50式)
断面積Sの管の媒質が一様に速度vで動くとき の体積の動く割合はSvであり、これを体積速度 ど称し音響系ではこの値を用いている。即ち体積 速度をuとするとu=Svであり、50式は次のようになる。
(51式)

 即ち前述のR-L-C電気回路の、電圧と電流 の関係式と同じ形をなす。この結果図III‐37のヘルム ホルツの共鳴器は、図III‐38のような音響回路 して描くことができる。即ちその回路は単一共振 系をなし、電気系または機械系のものと全く同様 にして考えることができる。このヘルムホルツの共 鳴器には、特定の周波数で共振現象が存在する。 音響回路におけるlρ/Sをイナータンス、r/S^2を 音響抵抗、そしてW/ρC^2を音響コンプライアンス と呼んでいる。そして音圧と体積速度どの比を 音響抵抗、虚数部を音響リアクタンスという。 それらは式51より次のように表わされる。
(52式)
 但し、ω=2πfは音波の周波数である。

●スピーカー・ボックスの考え方
a)密閉型ポックス
 現在あるオーディオ用のスピーカー・ボックス のほとんどは密閉型である。スピーカーにはおの ずと最低共振周波数が存在し、低域の再生限界を 決定してしまう。それはスビー力ーの振動系の質 量と、復元力や支持に必要な弾性により生じるも のである。そして今密閉型にスピー力ーが取り付 けられたとすると、スピーカーの後面に閉ざされ た空気は、スピーカーの動きにより圧縮、または 膨張をなしスピー力ーの動ぎを妨げることになる。 即ち新たな弾性である音響コンプライアレスが振 動系に付加したものと考えることができる。この コンプライアンスCm_{2}は、容積をWとすると
(53式)
として表わされ、図III‐36に示したようにスピー 力ーの機械回路に直列に入り全体のコンプライア ンスを小さくし、その結果最低共振周波数は図III−39 に示すように高くなる。即ち箱の容積が大きけ れば再生限界はスピーカーの最低共振周波数に支 配され、箱の容積が小さくなるとそのための音響 コンプライアンスに支配される。密閉型のスピー 力ーは製作は容易で、原理も簡単であり、設計と しては容積を考慮するたけで良い。また寸法は小 さく取ることもできるが、上記のように共振周波 数が高くなり、低域の再生限界が高くなつてじま う。密閉型ではスピーカーの後面からの音は利用 されず、ボックスの中に多孔質材科を施じ音響抵 抗を増加させ、ボックス中の乱れた反射や定在波 を防いでいる。

b)位相反転型ボックス
 スピー力ーの後面から出る音波は前面からのも のと逆位相にある。しかし密閉型ボックスのよう に後面を閉じることなく何らかの方法により、後 面からの音波の位相を反転してやリ、前面からの 音波と位相を一致させて放射するならば、低音域 の再生範囲を広げることができる。この考えに基 づくのが位相反転ボックスや、音響迷路型ボック スと言われるものである。図III‐40に位相反転 ボックスの構造と、その機械回路を示す。スピー 力ーを考えなければ前述のヘルムホルツの共鴫器 と全く等しく、新たに音響的な共振回路を設けた ものである。図III‐40の回路においてスピー力ーの 後面の振動速度と、下方に設けられた筒形の音 道での速'などの関係を求めると、音響系によっ て作られる並列回路の共振周波数以上では逆位相 になっていることがわかる。その関係は次のよう に与えられる。
(54式)

 これによりスピー力ーの後面より放射される音 は、前面のものと同位相になりその一般的特性は 図III‐41のようになる。音響回路の共振周波数を スピー力ーの最低共振周波数よりも低く取るこ により、一様ではないが低音域の再生範囲を広 げることができる。このことにより、低音域の一様 再生範囲が同じであるとすれば、密閉型のもの り容積が小さくてすむことになる。


c)音響迷路型ポックス
音響迷路型ボックスも,スピーカーの後面から の放射音波を利用するものであるが、その考え は非常に簡単である。即ち逆位相である音波をそ の波長の1/2の長さに相当する音道を通じてから放 射しようというものである。その構造を図III‐42 に示す。

●電気ギター用スピーカー
a)電気ギター用スピーカーの必要条件
オーディオ用として用いられるHi-Fiスピー 力ーは、あくまで音質に重点がおかれ、原音をい がに忠実に再生するかを目的としている。そのた めに良好な音圧周波数特性、指向特性、歪特性を 追求している。電気ギター用スビー力ーは、電気 ギターという楽器の一部であり、その使用目的は 異なる。さらに電気ギターの電気的特性に応じ、 衝撃的な信号に対拠するべく強靱でなくてはなら す、何よりも大出力を要求する音楽そのものに十 分に応答しなければならない。即ち最もポイント となるのは音響出力であり、そのために能率が良 くなければならず、信頼性、耐久性のために電気 的、機械的に強くなるように設計されている。

b)構造
 音響出力を得るためには、当然のごとく多大な 電力を、振動板は大きな振幅を必要とする。高出 力のスピー力ーでは、常に安定した振動を得、ボ イス・コイルのセンターすれをなくすために、タ ンパーがプレートをはさみ二重に作られている。 その概略図を図III‐43に示す。さらにコーンは軽く て丈夫な材質が必要とされ靱皮繊維材科を用いて 成形されておリ、コーンの質量は一般のオーディ オ用と比較して30%程度軽くできている。この要 素は能率改善に大きな役割りを果している。機械 的強度に対し、やはり耐久性として、多大の電力 が加えられるコイル部は最も検討すべきどころで ある。電気ギター用のスピー力ーは一般のものよ り、能率を高くとってあるにもかかわらず、最高 20%程にとどまっている。加えられた電気入力の 残りは、熱にかわリボイス・コイルを急激に加熱 してしまう。そこでボイス・コイルには耐熱性の よいポリアミドやガラス繊維の絶縁材料が用いら れており、さらにボイス・コイルに発生した熱を 発散さけるために放熱形ヨークも用いられ、空冷 により温度上昇を防いでいる。図III‐43に示した構 造のスピーカーでは、磁気回路の中心部に冷却気 気礼が記けられておリ、ボイス・コイルから吸収 した熟をセンター・キャップによつて空冷するよ うになっている。

●音圧特性
 オーディオ用スピーカーは、種々の楽器の音、 人間の声など様々な音を再生しなければならず、 そのためにも可能な限りの特性向上を目指さなけ れぱならない。それに対し電気ギター用スピーカ ーは、特定の周波数帯域のみに重点を置けば良く 音質向上のための努力を能率など他の面に向ける ことができる。電気ギターの6弦は、開放で82.407 Hzであり、スピーカーは少くとも80Hz以上再生 できれぱ十分である。また電気ベースでは開放 41.203Hzであり、40Hz付近に再生限界を置き たいところである。高域の再生限界は電気ギタ で22フレットとすると基本周波数は1174.6592Hz であるが高調波成分を考慮し5kHz以上の再生 が可能であれば良いであろう。また電気べースで は20フレットで311.127Hzであリ2kHzの再生 ができれぱ十分であろうと考えられる。即ち電気 ギター用スピー力ーの再生周波数帯域は以上のよ うに、キターの発生音そのものから推測設計が可 能である。

●オーディオ用スピーカーと電気ギター用のスピーカーの比較
以上まで述べてきた中で任意の項目に対してオーディオ用のスピーカーと電気ギター用のスピーカー の比較を表として記す。

A:オーデイオ用スピーカー
E:電気ギター用スピーカー

1.音圧周波数特性
A:可聴範囲である20Hz〜20kHzの帯域の一様再生を目的とされる。音楽を聞く場合など100Hzから 15kHzまで再生可能であれば十分とされるが、忠実再生のために現実には幅広い再生周波数帯 域を有する。
E:電気ギター、電気ベースの発生する音を再生できれば十分であり、電気ギターでは80Hz〜5kHz、 電気ベースでは40Hz〜2kHzまで再生可能であれば良い。

2.インピーダンス特性
オーディオ用、ギター用に関して特筆すぺき要索は見受けられない。

3.最低共振周波数
それぞれの低域の必要再生限界の周波数により決定し、またその点でもある。

4.高調波歪特性
A:歪は桓端に少なく聴感上全く問題がない程改審されている。実際歪が多い、と著しく聴感上に悪 影響を与える。
E:スピーカー自体の歪は殆ど問題はないが、発生する音そのものに歪を故意に与える場合もあり、 それ程厳確なものではない。

5.指向周波数特性
A:使用目的に応じ、なるぺく広い指向特性を有するものが良い。特に高域周波数の指向性を広く するための種々の方法が試みられている。
E:指向性に関してはさほど問題はなく、実際その再生帯域内においても、それ程の鋭い指向性は 生じない。

6.能率
A:音質向上の努力が払われその能率は1%前後と極めて低い。
E:コーンの質量を軽くするなど能率をよくするように心掛けられ、8%〜20%もの能率を有する ものもある。

7.許容入力
A:必要に応じて小さいものから大きいものまで存在する。しかし一般的にはそれ程の入力は必要 とされず、たとえば50Wぐらいの大入力のスピーカーでも小さい出力で使用される場合が殆ど である。
E:植端に大きくl00W、200Wのスピーカーもあり、実際にそれぐらいの入力を与えて使用する場合 が多い。

8.耐久性
A:必要最小限の注意は払われているが、思わぬ大入力を与えると破損しやすい。
E:大入力に対拠し得るために、電気的、機械的に強靱に作られており、特に問題にされるところで ある。

9.備考
A:音質に特に注意が払われ、システムとしての装飾から部屋にマッチするようなデザインなど、 非常にデリケートなものとして扱われている。
E:実用性や使用頻度を考慮し、できるだけ小型軽量なものが望ましい。

●後面開放型スピーカー・ボックス
 フェンダーのツイン・リバーヴ・アンプのような スピー力ー・ボックスの後面が開放されたタイプ は数多く見受けられる。(ラブ、ブギー、ミュージックマンなど) それらのアンプは、必要とする幅によリボックスの奥行きを決定 しているようである。一般には30cmの口径をもつユニット が2個使用されているようであり、このようなス ピー力ーの物理的特性はほとんど・似かよったもの となる。
a)音圧周波数特性
 オーディオにおいて、低域の再生限界は共振周 波数までである。しかしこれはスピー力ーの後面 からの音をうまく遮断したときのことである。つ まり後面が開放となつているスピー力ー・ボック スでは、スピー力ーの両面から生じる音波が互い に干渉してしまう。これは周波数特性を見れぱ明 らかであり、最低共振周波数以上の周波数でも満 足な音圧は出ておらず、高城のピークは別として 約200Hz前後から平坦な特性のものとなっている。 これは音波の波長と、スピー力ーの両面を遮断す るバッフルの寸法のみに依存している。つまリバ ッフルの必要性のところで述べたように、バッフ ルは大きければ大きいほど、図III‐46のように両面 の干渉を防ぐことのできる周波数は低下する。図 III‐47において、両面の距離となるl1+l2+l3が任 意の周波数の1/2波長より短いならば、その周波数 より低いところでは干渉を生じてしまう。実際に その境となる周波数が200Hzであるとすれぱ、そ の1/2波長は0.85mとなり、現実の両面の距離とほ ぼ等しいことがわかる。周波数が1kHz以上にな るとコーンの分割振動は複雑になり、そして3kHz ぐらいに高域共振周波数が存在し、急激に音圧 低下する。



b)インピーダンス特性
 バッフルの違いに見られるインピーダンスの変 化は、主に最低共振周波数の変化と、音響的共振 が付加するがどうかである。極端な場合として密 閉型パッフルのボックス内部の空気は、振動する コーンに対してスティフィネスを付加する事にな リ、共振周波数を高くする。しかし後面が開放さ れており、その開放面積が十分に大きければステ ィフィネスの作用は軽減する。つまり実際の特性 を見てもわがるように、後面開放型のバッフルで はスピー力ー自体の持つ最低共振周波数をそれ程 上げることはない。

c)指向周波数特性
 一般にコーン・スピー力ーの1個の指向周波数 特性は、スピー力ーの口径と角度に応じて変化す る。しかし複数個のスピー力ーが任意に配置され 同時に音波を発生した場合は1個の場合と比較し て異なった指向特性を生じる。このことはそれぞ れのスピー力ーに対して、聴取点がらの距離が異 なり、位相の変化があることによる。2個のスピ ー力ーからの距離が等しいならば、互いに正相に 振動しているのであり音源は強められる。しかし 図III‐48のように聴取点からの距離が異なると距 離の差と波長の関係により音源は弱められる事に なる。この事は指向性を鋭くする要素に他ならない。 さらに距離の差が1/2波長の奇数倍となる周波数 では極端に打ち消しあい、ディップが生じる事に なる。これは2点で同時に波紋を発生させたとき の水の波面と全く同一である。これらの事実を 際の特性図がらも観察する事がでぎる。2個のス ピー力ーの中心から測定点までの距離はrであり、 個々のスピー力ーからの距離r1、r2は次のように 与えられる。
(式55)
この距離の差が波長の奇数倍となるところにお いて音圧にディップを生じる。

●マーシャル・タイプ・スピーカー
a)音圧周波数特性
 マーシャルのスピー力ー・システムは30cm口径 のスピー力ーが4個取り付けられ、パッフルは密 閉型となっている。そのために低域再生限界は最 低共振周波数までであり、後面開放型のように低 域で特性が低下する事はない。この種のタイプは、 低域の特性など・オーディオ用のものと共通してい る。

b)インピーダンス特性
 電気ギター用のスピー力ー・システムはその必 要性に応じて決して余分なスベースを持ち合わせ ていない事は前述の通りである。そのために密閉 型のものでは、ボックス内部の空気によるコンプ ライアンスが小さく、最低共振周波数を著しく上 昇させてしまう。マーシャルのインピータンス特 性を見てもわかるように、他のスピー力ーと比較 して最低共振周波数が高い事がわかる。

c)指向周波数特性
 スピー力ーの数が多ければそれたけ音場は複雑 なものとなる。特に指向特性はそのスピー力ーの 配置と測定位置により大きく変化する。スピー力 ーを一列に並へるとそれだけその方向の指向性は 鋭くなるのである。マーシャルのスピー力ーは図 III‐50(a)のように配置されているが、その測定点は 中心軸よリ1mとしている。さらに指向特性は 図III‐50(b)のように同一平面上で行なわれている。 つまり左右2個づつの上下のスピー力ーは、それぞれ測 定点に対して全く同一の音圧を与える。その結果 この配置による測定に関しては、上下のものは1 個と考えることができ、その指向性は左右の2つ のスピー力ーによるものと同じに考えることがで きる。そこでこの指向特性の考え方は前述した2 個のスピー力ーの場合と同一であり、実際その特 性はさほど複雑ではなく、2個の場合と同様なディップ を示していることがわかる。


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