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ピックアップ


ピックアップは電気ギターの心臓部。 弦振動を電気信号に変換する部分で、普通はボディに装着されている。 電気ギターのピックアップは磁気の変化によりコイルに発生する起電力を 信号として取り出す電磁変換方式によるものがほとんどであり、 他にコンデンサー・タイプ、振動ピックアップ方式、 オプチカル方式などがある。

電磁変換方式は電気ギター用ピックアップに使用した場合、 次のような利点を持つ。
1) 変換効率が良い。つまり出力が大きく電気信号としての取り扱いが簡単である。
2) 不用な振動をカットできる。ボディ、弦などのノイズ成分を拾いにくい。
3) 構造が単純である。

欠点としては次の事があげられるが、楽器としての性格上、 上記利点に比べればほとんど問題にならない。
1) 磁力により弦の自然な振動に影響が出てくる。
2) 弦の持つ全ての倍音をピックアップできない。
ピックアップが複数個用いられる理由はここにある。
3) 形状が大きく、操作性を左右する。
4) 原理的に歪がある。しかし音楽としてのピックアップであるために問題は少ない。
5) コイル・インダクタンスが大きい。インダクタンスが大きくなると 高域が減衰したりリピークが生じるが、 音色の特長として考えられるため問題は少ない。

振動ピックアップはアコースティック・ギターなどのボディ、 ブリッジ振動をピックアップするために用いられ、 ピエゾ素子、電磁ピックアップを用いたものなどがある。



●ピックアップの種類。

シングル・コイル・タイプ
最も基本的なもので、一列のポールピースにコイルを巻いてあるもので、 弦振動を一個所で拾う。歯切れの良い明るいサウンドが特徴である。
上記ピックアップに白のカバーを取り付けた状態
ハムバッキング・タイプ
ハム(ブンブンというノイズ)に対して2個のコイルを逆相接続し、 ハムをキャンセルする方式によりこう呼ばれる。 磁気回路がU字形をしており、2個所で振動を拾う。 柔らかく、低域の豊かなサウンドを持つ。
バータイプのマグネットを2個並べたタイプのもの。 画像のものはそれぞれのマグネットにコイルが巻いてある。 コイルの端子の接続方法を同相、逆相、シリアル(直列)、パラレル(並列)と 変えることにより、様々なバリエーションの音質を得ることが出来る。 配線に当たっては、ノイズに気をつける必要がある。

ピックアップコイルは直径0.05〜0.06mmをシングル・コイル・タイプで、 6000〜8000ターン、ハンバッキング・タイプでは 1個のコイルに4000〜5000ターン巻かれている。
マグネットはフェライト、アルニコ系が主に使用され、 磁力は1000〜1400ガウスくらいである。
コイルを保護するピックアップ・カバーにはプラスチック、 金属が用いられる。金属カバーにはシールド効果はあるが 表面にうず電流が生じ、高域が減衰するため、 外して使用する場合も多い。
電磁ピックアップにおいて出力を増大させるためには、 磁力を強くするかコイル巻き数を増やすことである。 しかし、強すぎる磁力は弦振動を不自然にし、 コイルの巻きすぎは高域を減衰させる。 結局、同構造のピックアップでは磁力と巻き数の兼ね合いが ピックアップの特徴を決定していると言える。



●取り付け状態

ハムバッキング・ピックアップ。画像のものは左右色が異なっているが、 ピックアップカバーの色が違うだけで、構造上は同じである。
シングルコイル・ピックアップ。ストラトキャスターに 取り付けられた状態。白のピックアップカバーが普通であるが、黒のものや他のカラーもある。
Rickenbackerのピックアップ。