Dr.藤野  ドクター藤野のリペアー講座

湿度管理について
●デリケートな高級ギターの湿度管理について

まず高級ギターは何故気候に対してデリケートなのでしょうか。以下のようなことが 考えられます。

(1) 鳴りを優先して、ラッカーなど薄く通気性の高い塗装をほどこしていることが多 いため。

(2) 特にアコースティック・ギターの場合、鳴りを優先してボディ材各部に単板を採 用することが多いため。

(3)各接着面に天然素材であるニカワを使用しているため。

比較的安いコストで頑丈に仕上げられ、また大量生産に向くため、普及品のギター にはポリ塗装、合板が使用されることが多いのですが、音の良さを追求した場合、ラ ッカー塗装、単板素材の使用がひとつの結論となります。有名ブランドの高級モデル のスペックを見れば納得いただけるでしょう。しかしながら、日本における激しい湿 度の変化は、そういった楽器にとっては少々辛いものがあります。特に製造後まだ新 しい楽器の場合、最初に迎える冬場には、急激に水分が抜けてしまうことで、木部に 割れやヒビが入り易いのです。初めて高級品を購入された方が遭遇しがちなトラブル です。 発生を抑えるためには、やはり何と言っても室内の湿度に気をつけることです。最近 は加湿器も普及しているので湿度管理が楽になりましたが、お住まいによっては日中 は加湿器で湿度を上げられても、夜間加湿器を止めて急激に湿度が下がることも考え られます。こういった環境が一番楽器にこたえます。湿度がある程度一定に保たれる ことが大切です。水分を含ませてサウンドホールに装着するような湿度維持のための アクセサリーもございますので、加湿器よりそれらを使う方が確実かもしれません。 また楽器をストーブ、ヒーター、エアコンの送風口などのそばに置かないのは鉄則で す。楽器にトラブルを発生させてしまう方は、このポイントを見逃していたり、軽ん じていることが多いようです。 また割れやすい部署、材はある程度決まっています。アコースティック・ギターの場 合、トップ材が乾燥により縮み、中央の接合面などがパックリと離れてしまうことが あります。また指板などに使用されるエボニーも弾力性に欠けるため割れやヒビが入 り易い材です。自分が所有する楽器の木材特性を知っておくと良いでしょう。 ネックの逆反りやフレットのバリもこの季節におきやすいトラブルです。いずれも、 夏になれば元に戻ってしまうことも考えられますが、放って置くとおくと演奏に差し 支えます。前者は重度でなければアジャスタブル・ロッドでの補正が可能でしょう。 バリは専門家に相談し削ってもらった方が良いでしょう。 こういったトラブルは必ずしもすべての楽器に発生するものではありませんが、気を 付けることに超したことはありません。もちろん、上記のように気配りで防げるもの です。また万一トラブルが発生した場合でも、まず修理が可能です。心配しすぎは無 用ですが、高級ギターをお持ちの方は、基礎知識として上記のことを覚えておいて損 はございません。気になることがあれば、購入された店舗に早めに相談ください。

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